りんご蜜のシロップとは?完熟サンふじをまるごと煮詰めたりんご蜜
2016年3月より、自社の加工場でつくっているのでもっとおいしくなりました。
菱沼農園では毎年冬季にはサンふじりんごの収穫・出荷をおこないますが、ここ近年ではそれらのりんごをまるごと絞ってジュースなどの加工品にも力を入れております。最近では、収穫した果実をまるごと搾ってできあがったりんごジュースをさらに煮詰めて『りんご蜜』という、りんごだけでできたシロップをつくりあげました。りんご蜜のシロップというのは、りんごの果実をまるごと搾って、それを煮詰めるだけというとてもシンプルで簡単な加工品です。
しかし、シンプルなものほど奥が深いというのはまさにりんご蜜のこと。このシロップは果実そのものだけを搾って煮詰めたものなので調味料や添加物など、りんご蜜シロップの中には余計なものが一切含まれておりません。サンふじりんご本来の味わいや風味を大事にしています。そのため、サンふじそのものの味わいがりんご蜜のシロップとなるわけですので、どのような料理やレシピにでも相性よく使用することができます。それは、果樹そのものにおける今後の方向性や可能性を大幅に広げることとなりますので、果樹をじっくり育てる菱沼農園としても大変興味深いことです。
どうやって『りんご蜜』は生まれたの?
そもそもですが、サンふじりんごとはどのようなものなのでしょう。ふじりんごには大きく分けるとそれぞれ、太陽をいっぱいに浴びさせるものとそうでないものの二種類が存在します。そのうち、太陽をできるだけたくさん浴びさせるのがサンふじで、りんごの中でも特に代表的な品種のひとつです。サンふじはそのまま食べることでりんご本来の味わいを楽しむこともできるのですが、菱沼農園ではこのような本来の味わいを確かめながら、それらの果樹が持つ本来の能力をいかし、果樹の用途や可能性をもっとたくさん引き出してあげたいという強い考えがあります。それこそが、今回の『りんご蜜』という新しいシロップへの構想・そしてアイディアへとつながっていったのです。
りんご蜜シロップの全身はりんごジュース。
りんご蜜のシロップをつくるにあたり、果樹をいきなりりんご蜜にすることはできません。過程の中でまずやってみたことは、ツル割れ・枝ヅレ・小玉などといった訳ありの商品をつかって、二次加工をしてみることでした。ツル割れ・枝ヅレ・小玉といってもそれは見た目だけの問題で、りんごの味わいは風味は申し分ないほどです。ならば、私たち人間の手によって見た目を美しくすることで、もっと多くの方々に菱沼農園のりんごの味わいを楽しんでいただけるという考えがまず根本にありました。そこで思いついたのは、サンふじをまるごと絞ってできあがったりんごジュースだったのです。
このサンふじでつくりあげたりんごジュースに、はたしてどのくらいのりんごが含まれているのでしょう。実際に業者さんにお願いしてみたところ、瓶1リットルに対して大玉のサンふじりんごが約6玉〜7玉です。大玉で約6玉〜7玉というといまいち『ピンっ!』とこないかもしれません。そこでもう少しわかりやすく、スーパーや一般家庭で最も普及している小玉のサンふじりんごに例えるとまるごと約10玉以上入っていることになります。1瓶につきまるごと10玉以上ものりんごが搾られていると思うと、そのすごさが伝わってきますよね。
さて、このジュースをさらに煮詰めて水分を蒸発させたものが『りんご蜜』になるわけですが、前途にある1リットル瓶のりんごジュースをじっくり煮詰めると、約180gのりんご蜜ができあがります。菱沼農園のりんご蜜の商品画像などを見ていただければわかっていただけると思いますのが、あの1リットル瓶を煮詰めて、あの小さな1つの瓶に仕上がるのです。りんごジュースの水分をはじいただけですので、もちろん調味料や甘味料など、余計なものは入っておりません。入っているのは菱沼農園でじっくり育てたサンふじりんごだけなのです。
このようにしてつくられるりんご蜜は、一見りんごをまるごと絞ってジュースにしたものを煮詰めただけなので、簡単につくれるように思います。しかしながら、実際にはりんご蜜の甘味や透明感のある色合いをだすことが非常に難しく、失敗の連続でした。商品化してみたいという目的はあっても、実際にはかなりの時間がかったことを今でもはっきり覚えています。このようにして、りんご蜜シロップを納得のいく味わい・色合いにするまでには、長時間かけて何回も煮込みながらアク取りをおこない、鍋に焦げがつかないように手間暇をかけて何度も何度も試行錯誤しました。
りんご蜜のシロップが思いついたあの日。
サンふじりんごをまるごとしぼってできあがったりんごジュース。初めて大事に育てていたサンふじりんごを二次加工できたことに喜びを感じ、しばらくりんごジュースを毎日飲んでおりました。そんなある日、りんごジュースを飲んでばかりいた私に、ちょっと閃きが舞い降りました。「あ、毎日飲んでいるけど、たまには何かにかけたり混ぜたりして食べてみたいな。」そんな感覚です。
そこで私は、このりんごジュースをもう少し固体にすることで、ジャムやシロップのような使い方もできるのではないかと企むようになりました。それがりんごジュースを煮詰めた『りんご蜜』誕生のきっかけでした。当時を思い返せば、「もっとおもしろいことはできないか?」と毎日のように考え、菱沼農園の事務所内にある小さな片隅にあるキッチンで、密かにさまざまな加工に挑戦もしてみました。
さいごに
りんご蜜のシロップというのは、搾って煮詰めるだけというとてもシンプルな加工によって生まれた商品。だけど、シンプルにつくれるものだからこそ、りんご本来の甘みを引き出すことができます。もちろん、調味料や添加物など余計なものは一切手を加えないように工夫もしています。そのため、りんごそのものの味が蜜となり、シロップになる。そんなりんご蜜シロップは、どんな料理にでも相性抜群にある可能性を秘めており、さらにはりんご本来が持つほのかな酸味と香りを楽しむことができます。
料理レシピへの用途が幅広いので使い方に答えはありません、りんごの新しい姿をぜひみなさまの手によって自由にお試しください。