福島桃の栽培方法を桃名人がお教えします。
桃の正しい栽培方法
菱沼農園では、おいしい福島桃を育てるために、冬季から作業をおこなっております。桃の木に花が咲き始める春の前に、剪定・摘蕾とよばれる作業をおこないます。
剪定(せんてい)
桃の剪定とは、木や枝の数を切りながら調整し、それぞれの枝に対してまんべんなく太陽の光を浴びさせることが目的の一つとなります。雪の降り注ぐ冬季の間に例えば桃の木を放置して、伸び続けた枝をそのままの状態にしておいた場合、木の真ん中にある幹の部分にまで十分に太陽の光を浴びることができなくなってしまう。単純に木全体の見栄えをよくするだけではなく、木や葉全体に与える風通しをよくする効果があります。健全な木が育つとともに、木の枝に送られる栄養素が効果的に木全体に送られます。菱沼農園の剪定は、それだけが目的ではありません。果物名人の剪定は、自らの作業環境を整えるために剪定を行っています。自身が剪定の後、摘蕾、交配、摘果などの作業をよりやりやすい環境で栽培するために、桃の木の中心部分にうまく日が入り込めるような空間をつくりながら剪定をするのです。そうして自身が栽培をしやくすく、かつ自然と木の枝が自由に伸びるような剪定をおこなっているのです。
くだもの名人による福島桃の剪定作業
果物名人による桃の摘蕾作業
摘蕾(てきらい)
桃の摘蕾とは、桃の木の枝から芽生えてくる蕾の数を取り除いて蕾の数を調整することです。摘蕾によって桃の木の根から送られてくる栄養素や旨味となる成分を集中的に果実に送り届けることを可能とします。
交配(川中島白桃の授粉作業)
春になり、開花の時期となると交配と呼ばれる作業となります。川中島白桃は同じ品種同士で花粉を受粉することができません。そのため、栽培者の手によって人工的に授粉をおこなう必要があります。そのため、春の開花の時期に別な品種の花を大量に取り集め、容器に移し替えたものを大きな綿棒を使用して授粉作業をおこなうのです。
桃の摘果
要領は摘蕾と同じですが、摘蕾で取りきれなかった蕾から果実を取り除くことで、木がそれぞれに送る栄養成分をコントロールします。
袋掛けと最終摘果
菱沼農園で栽培している品種の中でも、それぞれ無袋品種とよばれる袋掛けをしなくても栽培可能な品種と、有袋品種と呼ばれる袋をしないと桃の果実に亀裂が入ってしまう品種があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、例えば無袋品種は有袋よりも甘みのある品種を栽培することが可能ですが、その分見た目でリスクを背負います。有袋は、桃の表面を強風や強い日差しから保護しますので、自然の傷や亀裂などを最小限に抑えることが可能です。また、病害虫による外敵による被害も抑えることができ、葉面散布の量や回数も最小限におさえることができます。更には、緑色をした葉緑素を退化させることができるので、桃全体の色味もきれいになります。しかしながら、有袋の場合は無袋品種の甘み・旨味でやや劣ります。